インサイトとは|言葉の意味や成功事例・マーケティングに活用する方法を解説
インサイトとは、顧客自身も気づいていない深層的な欲求や動機を指します。表面的なニーズ以上の、顧客の本質的な願望や不満を理解できれば、革新的な商品開発やマーケティング戦略が実現するでしょう。
本記事では、インサイトの基本概念から発見方法、活用事例まで幅広く解説します。顧客との深い絆を築き、ビジネスを次のステージに進めたい方は、ぜひ最後まで読んでください。

インサイトとは|概要を解説
インサイトについて、その本質と他の概念との違いを詳しく見ていきましょう。
インサイトとは顧客自身も気付いていない本音
インサイトは、顧客の行動や思考の根底にある、表面化していない真の欲求や動機を指します。顧客自身も明確に認識していない潜在的な願望や不満がインサイトの本質です。
インサイトを見つけることは、革新的な商品開発やマーケティング戦略の立案につながり、企業の競争力向上に大きく貢献します。
顕在ニーズや潜在ニーズとの違い
顕在ニーズは顧客が明確に認識し、表現できる欲求や要望です。一方、潜在ニーズは顧客自身は気が付いていないものの、外部から観察できる隠れたニーズを意味します。
そして、インサイトは潜在ニーズよりもさらに深層にあり、顧客の価値観や信念に根ざした本質的な欲求です。

たとえば、家の掃除にまつわるニーズを例にとると、
- 「軽い掃除機が欲しい」…顕在ニーズ
- 「掃除の負担を減らしたい」…潜在ニーズ
- 「家事の時間を減らして自分の時間を増やしたい」…インサイト
となるでしょう。
インサイトを理解することは、顧客の真のニーズをとらえ、長期的な顧客関係の構築と事業成長を実現するための重要な鍵となります。
インサイトマーケティングに取り組むべき理由
次に、インサイトマーケティングに取り組むべき3つの理由について見ていきましょう。
① 商品やサービスが飽和状態にあるから
現代の市場では、多くの業界で商品やサービスの機能的な差別化が難しくなっている傾向にあります。結果として、顧客にとって選択肢が多すぎることで、商品選びに迷いや疲れを感じさせる「選択疲れ」現象が起きています。
インサイトにもとづくマーケティングは、機能や価格以外の価値を提供し、競合との差別化を図る際に効果的です。たとえば、自動車業界では単なる移動手段ではなく、「自由や冒険を楽しみたい」というインサイトに訴求する戦略が効果を上げています。
インサイトマーケティングは、飽和した市場において独自のポジションを確立し、顧客との深い絆を築くための有効な手段です。
② 顧客の行動が多様化しているから
デジタル技術の発展により、顧客の情報収集や購買行動のあり方が急速に変化し、多様化しています。そのため、デモグラフィック分析だけでは、顧客の真のニーズや行動を把握することは難しいでしょう。
顧客の行動の背景にある動機や価値観を理解できれば、効果的なアプローチが実現します。顧客行動の多様化に対応するためには、インサイトマーケティングを用いて顧客理解を深め、的確なソリューションを提供する必要があるでしょう。
③ 新たな需要を作り出せるから
インサイトマーケティングは、顧客が明確に認識していないニーズを発見し、新たな市場を創造する可能性を秘めています。既存の商品やサービスの改良に活かすだけでなく、まったく新しい価値を提案できれば、競合のない市場を生み出せる可能性があります。
顧客のインサイトにもとづいた革新的な商品開発が行えれば、潜在的な需要を顕在化させ、新たな市場を生み出すことができるかもしれません。たとえば、スマートフォンは、「いつでもどこでも情報にアクセスしたい」というインサイトに応えて、携帯電話市場を大きく変革しました。
また、サブスクリプションサービスの広がりは、「『所有』よりも『利用』を重視したい」というインサイトから生まれ、多くの業界に新たなビジネスモデルをもたらしています。
インサイトマーケティングで新たな需要を掘り起こすことは、ビジネスの持続的な成長と市場におけるリーダーシップの確立につながる重要な戦略です。
インサイトの見つけ方
ここでは、インサイトを見つけるための方法について、3つのステップを紹介します。
顧客データを集める
インサイト発見の第一歩は、多角的な顧客データの収集です。購買履歴やウェブサイトの行動ログ・顧客アンケート・SNSの投稿など、多様なソースからデータを収集します。定量的データだけでなく、カスタマーサポートの対応記録や販売員の報告など、定性的データも重要です。
なお、顧客の行動履歴を収集するツールとしては、LINE公式アカウントがあります。
LINE公式アカウントを使えば、ユーザーの属性情報だけでなく、どの商品販売画面を頻繁に閲覧しているかなどの、行動履歴を取得できます。また、属性情報だけでなく行動履歴も収集すれば、顧客の行動パターンや潜在的なニーズを多面的に分析できるでしょう。
LINEのチャットボットを活用してマーケティング施策を展開するなら、ユーザーの購買・契約行動をサポートする「DMMチャットブーストCV」が便利です。興味のある方は、ぜひこちらからお問い合わせください。
集めたデータを分析する
データを集めたら、顧客の属性や行動におけるパターン、傾向を見つけます。データをもとに顧客をセグメント化し、類似した特性や行動を持つグループを特定しましょう。購買行動と顧客属性の相関関係を分析して、特定の行動の背後にある要因を探ることも大切です。
データ分析によって、表面的なニーズの背後にある真のインサイトが浮き彫りになるでしょう。
なお、顧客を属性ごとに分類する分析手法に「セグメンテーション」があります。セグメンテーションについてより深く知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
参考:セグメンテーションとは|ターゲティングとの違いや成功事例・LINE活用法も紹介
ペルソナや共感マップを作成する
分析結果をもとに、典型的な顧客像をあらわすペルソナを複数作成します。ペルソナには、性別・年齢・居住地域といったデモグラフィック情報だけでなく、価値観や行動パターン・悩みなども含めるとより具体的なイメージを持って分析できるでしょう。共感マップを用いて、ペルソナの思考や感情・言動・行動を視覚化することも大切です。
加えて、ペルソナのカスタマージャーニーマップを作成し、商品やサービスとの接点における体験を深く理解すれば、改善点が見えてくる可能性があります。
ペルソナや共感マップなどを活用すれば、抽象的なデータを具体的な顧客像としてとらえて、インサイトの発見につなげられるでしょう。
なお、ペルソナの作り方については以下の記事を参考にしてみてください。
参考:ペルソナとは?ターゲットとの違いや設定の目的、手順をわかりやすく解説
インサイトをビジネスに活かした事例
インサイトをビジネスに活かした具体的な事例として、3つの企業の取り組みを紹介します。
貝印|調査で浮かび上がる剃毛のインサイト
カミソリのメーカーとして知られる貝印株式会社は、剃毛・脱毛に関する消費者意識調査を実施し、「剃毛・脱毛については自由に選択したい」というインサイトを発見しました。
調査によって得られたインサイトをもとに、貝印は「#剃るに自由を」というテーマを設定し、バーチャルヒューマンMEMEを起用しています。バーチャルヒューマンMEMEとは、CGで作られた架空のキャラクターで、Instagramで自身の生活やアート作品を公開しているバーチャルインフルエンサーです。
MEMEとともに、「ムダかどうかは、自分で決める。」というキャッチコピーを全面に打ち出したグラフィックが展開されました。
この事例は、顧客の意識調査から得られたインサイトを見つけることで、顧客の本質的なニーズに応えるコミュニケーション方法を採用した好例といえるでしょう。
参考:『#剃るに自由を』をテーマにコミュニケーションを開始 バーチャルヒューマンMEMEが価値観の多様化を代弁
大戸屋|女性客のインサイトをとらえた戦略
外食チェーンの大戸屋は、女性客のインサイトを意識して、顧客の多様なニーズに応えることに成功しました。「定食屋」に対する「男性向け」というイメージをくつがえし、女性客を意識した店舗づくりを徹底しています。
具体的には、家庭的な和食メニューと豊富な野菜を使った料理で、健康志向の女性ニーズに応えました。また、ビルの2階や地下に店舗を構えるケースが多いのは、「一人定食屋に入るところを見られたくない」という女性客に対する配慮した施策です。
大戸屋は、「定食屋は男性客がいくもの」というステレオタイプにとらわれず、女性客のインサイトに柔軟に対応して幅広い支持を獲得した事例といえます。
P&G|インサイトの発見で掴んだV字回復
日用消耗品を扱うP&Gは、「日常の嫌なにおいを消す」というニーズに応える商品として「ファブリーズ」を販売したものの、思うように商品が売れませんでした。理由を解明するために調査を行ったところ、消費者がファブリーズに求めていることは嫌なにおいを消すことではなく、「フレッシュな香りを加える」であることが明らかになりました。
そこでP&Gは、この調査結果にもとづいて「フレッシュな香りを加える」製品としてマーケティング戦略を変更しました。結果2ヶ月で売上が倍増し、1年後には2億3000万ドルの売上を達成しました。
この事例は、インサイトを深く理解することの重要性を示しています。正確なインサイトの発見と、マーケティング戦略の柔軟な修正が、大きな成功をもたらしました。
インサイトをマーケティングに活用する方法
ここでは、インサイトをマーケティングに活用する3つの方法を紹介します。
レコメンデーション
レコメンデーションとは顧客の過去の購入履歴、閲覧履歴、検索履歴などのデータを基に、その顧客に最適な商品やサービスを推薦する手法です。
レコメンデーションにおいては、具体的に以下のような活用例が考えられます。
- 商品のレコメンド:
顧客の購入履歴や閲覧履歴から、関連性の高い商品を提案します。たとえば、ある商品を購入した顧客には、同じブランドの他の商品や、一緒に購入されやすい商品をレコメンドします。 - コンテンツのレコメンド:
顧客の興味関心に基づいて、最適な記事や動画を提案します。たとえば、健康食品に興味を示している顧客には、健康に関する記事やレシピをレコメンドします。 - クロスセル・アップセル:
顧客が購入している商品に関連する商品や、より高額な商品を提案します。たとえば、スマートフォンを購入した顧客には、スマートフォンケースやイヤホンといった関連アクセサリを提案して顧客単価を高められます。
LPO(ランディングページ最適化)
LPOとは、ランディングページの構成やデザインを改善し、コンバージョン率(目標達成率)を高める手法です。顧客インサイトを活かすことで、より効果的なランディングページを作成できます。
インサイトを活用したLPOの具体的な方法は以下のとおりです。
- ターゲット層に合わせたLPの複数展開:
顧客セグメントごとに異なるランディングページを作成し、それぞれのターゲット層に響くコンテンツを提供します。属性ごとに異なる訴求軸をインサイトから読み取り、各LPに反映することが重要です。 - デザイン・CTAの改善:
顧客の視線動線やクリック行動を分析し、より効果的なデザインに改善します。また、上から下に閲覧する顧客の流れに合わせて最適な箇所にCTAを配置することでCVRの向上につながるでしょう。
LPOについて、より詳細な解説・方法をまとめた無料ダウンロード資料もご用意していますので、興味がある方はぜひ以下よりダウンロードください。
参考:CV数が飛躍的にアップ!? 広告効果を最大化するLPO4ステップ【LPOチェックシート付】
インサイトを把握してマーケティング活動に活かそう
インサイトは、顧客の真のニーズや欲求を理解するための重要な鍵です。多角的なデータ収集と分析を通じて、顧客の行動や思考の背景にある本質を見きわめましょう。
インサイトを活用することは、競争が激化する市場で差別化を図り、顧客との深い絆を築くための強力な武器になり得ます。自社のマーケティング戦略をインサイト中心に見なおし、顧客の心に響く取り組みを始めてみましょう。

で、