ナーチャリングとは?見込み顧客の育成方法や手順をわかりやすく解説
消費者の情報収集手段が多様化している昨今、数ある競合のなかから自社を選んでもらうためには「ナーチャリング(顧客育成)」の考え方が不可欠です。
本記事では、ナーチャリングの必要性やメリットに加え、具体的な手法・導入手順についても紹介しています。
「リードを効率的に顧客化したい」「どのようなナーチャリング施策が有効なのか知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

ナーチャリング(顧客育成)とは?
ビジネスにおけるナーチャリングとは「顧客育成」を意味します。マーケティング領域では、ナーチャリング活動の代表的なものとして、見込み客の購買意欲を醸成する「リードナーチャリング」を見聞きすることが多いでしょう。

ナーチャリングは、営業部門へ引き渡す見込み客の創出・発掘活動における1つのプロセスです。
ナーチャリングが重要視されている理由
ナーチャリングが重要視されている背景として、インターネットの普及にともなう消費者の情報収集経路の多様化が挙げられます。
従来の消費者は、マス広告をはじめとした企業の一方的な情報を受動的に得る存在でした。しかし現代は、Web上の口コミやSNS、サービス比較サイトなどを通じて、消費者が自力で情報を探し出せる環境が整っています。
実際、見込み客の96%は、企業の営業担当者と接触する前に自身で製品・サービスのリサーチを行うことがわかっています。
参考:HubSpot State of Sales Report
情報の少なかった時代は、優秀な営業担当者が対面でクロージングを行うことで、見込み客の意思決定を比較的容易に促せました。
しかし、見込み客が「情報武装」して購入先を比較検討することが当たり前になった現代において、営業のみに頼った手法は通用しません。そもそも商談に持ち込むまえに、多くの見込み客を失う可能性があるためです。
そこで、獲得したリードの取りこぼしを防ぎつつ、商談・受注確度を高めるナーチャリング(見込み客の購買意欲醸成)が重要視されるようになりました。
ナーチャリングには「既存顧客の育成」も含まれる
ナーチャリング活動には、見込み客の購買意欲を醸成すること以外に「既存顧客をリピーターへと育成すること」も含まれます。
市場の成熟や人口減少にともない、現代のビジネスにおける新規顧客獲得の難易度は上昇し続けています。継続的な業績向上を図るうえで、既存顧客の離脱を防ぐことは必要不可欠なのです。
既存顧客をリピーターへと育成することで長期的な関係性を構築し、LTVを向上させることも重要なナーチャリング活動のひとつだといえます。
参考:LTV(ライフタイムバリュー)とは|重要視される理由や計算方法・高め方を解説
ナーチャリングのメリット
「ナーチャリングは手間がかかるのでは?」と考える方も多いでしょう。しかしそれ以上に、企業が得られる恩恵が大きい活動であることも事実です。
以下では、ナーチャリングに取り組むメリットを3つ紹介します。
CVR(購入率)の向上が見込める
ナーチャリング活動は、購入意思決定のハードルの高い商材において特に効果を発揮します。
たとえば近年、市場規模が急成長している美容医療(美容を目的とした医療サービス)は、「施術」というリスクをともなうサービスです。比較的高単価でもあることから、認知してからすぐに購入(申込み)の意思決定を行うことは難しいでしょう。
このような商材においては、ナーチャリングによって見込み客の警戒心を徐々に解きほぐすことによってCVRの向上が見込めます。
機会損失を回避できる
購買意欲が見られない見込み客を放置することは、機会損失につながることがわかっています。
その根拠を示すのが「放置した見込み客の8割が、2年以内に競合から製品を購入している」という、アメリカのB2B調査およびアドバイザリー会社Sirius Decisions(現・Forrester社)による調査結果です。

ナーチャリングによって課題やニーズにあわせたアプローチを行うことで、多額の広告費をかけて集客した見込み客との関係性を維持できます。結果として機会損失が発生しづらくなるため、商談やコンバージョン(CV)へ誘導できる確率が高まります。
参考:CV(コンバージョン)とは|意味や種類・LINEマーケティングの手法を紹介
獲得済みの顧客情報を有効活用できる
関係性がまったくないユーザーと新規に関係を作っていくこと(新規リードの獲得)には、多くの時間と費用がかかります。
1:5の法則(新規顧客開拓は既存顧客を維持するのと比較して5倍のコストがかかる)からもわかるとおり、既存リードを育てるほうが、リードを新たに獲得するよりも費用対効果が高いのです。

ナーチャリングを実施することで、休眠顧客や既存リードの有効活用ができるため、マーケティングROIの向上が見込めます。
参考:ROIの意味とは?計算式やROASとの違い・そのほかの重要指標を紹介
ナーチャリングに有効な7の施策
以下では、ナーチャリングに有効活用できる具体的な施策を7つ紹介します。自社の商材と相性のよい手法を検討してみてください。
オウンドメディアの運営
ナーチャリングで活用できるオウンドメディア(自社で保有するメディア)の代表例としては、自社サイトやブログなどが挙げられます。
コンテンツを通して価値ある情報を発信することで、見込み客との接点を構築しつつ製品・サービスへの理解を深める効果が期待できます。
SEO(検索エンジン最適化)対策によって自然検索による流入数を増やせば、多額の広告費を費やすことなく継続的にリードを獲得することも可能です。
セミナー・ウェビナーの開催
自社の製品やサービスに関連するセミナー・ウェビナーを開催することで、見込み客の購買意欲を一段階高めることができます。特に、質疑応答やディスカッションといった双方向性のコミュニケーションを取り入れると、商談や受注につなげやすくなります。
多くの人が関心を寄せそうな題材を選択すれば、質の高いリードを創出することも可能です。
ホワイトペーパーの作成
ホワイトペーパーは、見込み客にとって価値ある情報を提供する文書資料です。ダウンロードコンテンツとして自社サイトやLPなどに設置しつつ、そのなかで自社の商材をプロモーションします。
資料をダウンロードしてくれた見込み客から得た属性情報をもとに、さらにパーソナライズされたコミュニケーションを行うことで、最終目的(CV)の達成確度が高まります。
SNSによる情報発信
XやInstagram、FacebookなどのSNSは情報拡散力が高いため、認知度向上やブランディングに活用している企業が多いプラットフォームです。
「見込み客とのコミュニケーション手段」「オウンドメディアへの誘導手段」といった使い方をすることで、ナーチャリングにおいても高い効果が見込めます。現代では日本の総人口の9割程度がSNSを活用しているため、他の施策とあわせて積極的に活用することをおすすめします。
SNSにおける情報発信の効果を高めるうえでは、「タイムライン」への理解も重要です。
参考:タイムラインとは?マーケティングにおける重要性や活用例・各SNSの特徴を紹介
Web行動のトラッキング
Webトラッキングとは、自社サイトを訪れたユーザーの行動を記録・追跡することです。「どのデバイスで」「どこを経由して流入し」「コンテンツをどれくらいの時間閲覧したのか」を把握できます。
トラッキングによって判明したユーザーの興味・関心にあわせてコンテンツやセミナー、発信する情報などを最適化することで、より効果的なナーチャリングが実現します。
メールマガジンの配信
メールマガジンは、定期的な情報提供によって見込み客との関係性を構築するナーチャリングの基本的な手法です。
属性や行動、購買フェーズなどにもとづいて見込み客を分類し、それぞれに最適な内容を届ける「セグメント配信」を活用すれば、ナーチャリングの効果は一層高まります。
参考:セグメンテーションとは|ターゲティングとの違いや成功事例・LINE活用法も紹介
LINE公式アカウントの運用
LINE公式アカウントは、企業や店舗が作成できるLINE用のアカウントです。ユーザーへお得情報やクーポンを届ける手段として活用している企業も多いのではないでしょうか。
参考:【2024年版】LINE公式アカウントとは?機能や料金・使い方を基礎から解説
LINE公式アカウントによるナーチャリングは、メールマガジンと類似している部分が多いものの、開封率の高さやリアルタイム性などLINEならではのメリットが多数あります。
見込み客(友だち)に関するデータ分析機能も優れているため、より質の高いOne to Oneマーケティングを実現したい場合におすすめです。
>>LINE×チャットボットでマーケティングを自動化する「DMMチャットブーストCV」はこちら
ナーチャリングの実践ステップ
最後に、ナーチャリングのステップを端的に確認しましょう。

まずは、見込み客を属性情報や行動履歴などでグループ分け(セグメント化)します。それぞれの見込み客にどのようなアプローチが有効なのかを検討するうえでは、カスタマージャーニーマップが有効です。
参考:カスタマージャーニーとは|メリットやマップの作り方・活用事例について解説
そして、カスタマージャーニーのフェーズにあわせた具体的な施策を検討します。
- 購買段階の初期にいる見込み客には、抱えている課題を解決できるような記事コンテンツを提供する
- 製品を比較検討している見込み客には、LINEで特典情報を配信する
このように、それぞれのフェーズにマッチした顧客体験を提供することが、ナーチャリングを成功に導くコツです。
ナーチャリングでマーケティング活動を軌道に乗せる
ナーチャリングの効果を実感するには、ある程度の時間がかかります。しかし、現代の成熟した市場を生き抜く優位性を築きつつ、自社に長期的な利益をもたらす顧客(ロイヤルカスタマー)を囲い込むためには、ナーチャリングを通じた信頼関係構築が欠かせません。
まずは本記事で紹介した具体的施策を参考に、自社で取り入れやすいものからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

参考:リード獲得ナーチャリングとはどんなマーケティング手法なのか?成約へと導く手法とプロセス| スケコン-ビジネスの打合せ・面接に最適な日程調整ツール
参考:リードナーチャリングとは?成功のポイントと具体的なやり方|株式会社センタード
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